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アビタス通信 Vol.60ISACA経営陣に聞くデジタル社会の「信頼」をどう支えるか

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InterviewISACA経営陣に聞くデジタル社会の「信頼」をどう支えるか

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エリック・プルッシュ氏 Erik Prusch

ISACA Chief Executive Officer

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スティーブ・モール氏 Steve Mole

ISACA Senior Vice President of Sales

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クリス・ディミトリアディス氏 Chris Dimitriadias

ISACA Chief Global Strategy Officer

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カーステイン・ローラ氏 Kirsten Lora

ISACA Vice President of Product

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クリス・デマレ氏 Chris DeMale

ISACA Vice President, Global Sales, APAC

(※役職は2025年8月会談実施時)

アビタス代表の宇坂純はこのほど、公認情報システム監査人(CISA) 試験等の実施機関であるISACA® (Information Systems Audit and Control Association/情報システム監査コントロール協会)CEOエリック・プルッシュ氏はじめ、経営上層部と米国・シカゴで会談しました。

アビタスは2007年から他社に先駆けCISA講座を開講しており、永年にわたりISACAと良好な関係を築いてまいりました。そして2024年4月には「最も多くの人々に最も適切な教育を提供している最良のパートナー」「選りすぐりの精鋭」として『エリートプラス』に認定されました。
会談では、IT・セキュリティ領域でISACAがこれまで担ってきた使命・役割や提供機能に加え、AI/DX等による社会全般の急速なIT・デジタル化に対するこれからの取り組み課題を、経営上層部から聞くことができました。

  • 18年以上にわたるパートナーシップと「エリートプラス」認定
  • ISACAの概要と「信頼構築」のミッション
  • 分散型チームによるグローバル展開と将来への投資
  • ATO(認定トレーニング組織)と「エリートプラス」の意義
  • グローバルにおける情報・セキュリティ市場と日本の現状
  • 日本市場の見通しと労働環境の変化
  • 新資格「AAIA」および「CISAアソシエイト」の今後の展開

18年以上にわたるパートナーシップと「エリートプラス」認定

クリス・デマレ 2007年頃に実施されたISACAとの提携以来、アビタスは日本におけるISACAの売上成長の基盤となっています。以来、CISA コンテンツの教育を通じて数千人の学生を育成してきました。これはISACAにとって大きな貢献であり、非常に意味のあるパートナーシップです。

宇坂純 では、簡単に自己紹介をさせていただきます。私はアビタス代表取締役社長兼CEOの宇坂純です。ここにご参加いただき、大変光栄に存じます。

デマレさんから紹介いただいたように、アビタスはISACAとのパートナーシップのもと、CISAビジネスを約18年間続けてきました。つまり、2007年にCISAコースを開始したのです。以来、合格者数を増やすことに全力で取り組んできましたが、今後も貢献していきたいと考えています。2024年4月にデマレさんが当社を訪問し、『エリートプラス』認定のクリスタル製のトロフィーを贈呈いただけたことはアビタスにとって大きな喜びで、本当に重要なマイルストーンでした。私たちはこの認定を大きなモチベーションとし、今後ともこの事業に最大限貢献していきたいと考えております。改めて、ご支援とご協力に心より感謝申し上げます。

では、CEOのエリック・プルッシュ氏への質問です。ISACAとは18年以上関係のあるアビタスにとっても今回が初めての訪問となりますので、このインタビュー記事は日本の多くの方々にISACAを知ってもらう絶好の機会だと考えています。そのために、まず改めてISACAの概要を説明していただけますでしょうか?

ISACAの概要と「信頼構築」のミッション

エリック・プルッシュ ISACAは、カリフォルニアで設立された55年以上の歴史を持つ協会で、サイバーセキュリティ・監査・リスク・ガバナンスに特化した組織です。会員を基盤とした協会であり、現在世界中に約19万人の会員がいます。私たちは、会員のキャリア構築と成長を支援することで価値提供をする組織です。

私たちの始まりを振り返ると、常に会員への価値提供に焦点を当ててきました。その方法は多岐にわたります。会員への最高の教育や資格の提供だけでなく、会員同士がネットワークを築き、お互いがメンターシップを受ける機会も提供しています。これは非常に特別なことです。私たちは、キャリアの基盤を築くだけでなく、資格・トレーニング・教育を通じて、人々のキャリアを加速させる価値を提供できると考えています。

私はISACAが担っている崇高なミッションゆえに、ISACAという組織に絶大な信頼を置いています。そのミッションとは『激変する現代のテクノロジー社会をより安全かつ信頼できる場所とする職員を育成する』ということです。現在これほど人材に焦点を当てた組織は他にはほとんどありません。そのため、私たちが一人ひとりがその価値を実感しています。私たちの本部組織は300人の職員で構成されていますが、世界中で195,000人の会員を擁します。また、米国外での会員数と資格認定の件数が、米国内の件数と収益と同等であるグローバル組織です。これもまた、私たちを特別な存在にしている要因です。

宇坂純 ISACAは、認定資格の提供だけでなく、コミュニティ構築やメンターシップを通じて会員のキャリア支援にも貢献しているということ、大変に素晴らしいことだと思います。それでは2つ目の質問となりますが、このISACA本部で行われている機能と活動について、もう少し詳しく説明していただけますか?

分散型チームによるグローバル展開と将来への投資

エリック・プルッシュ 偶然ですが、実は私たちは今日(※このインタビューは2025年8月上旬に実施)から2026年の計画を立て始めています。これは、私たちの考え方を進化させるためだけでなく、より重要なのは、会員に提供する価値を年々向上させるためです。

本部も含めてISACAがこれまで行ってきた機能と活動の特徴は『分散型チーム』という点にあります。私たちはバーチャルチームです。イリノイ州をはじめノースカロライナ州といった米国の多くの州、そしてギリシャほかヨーロッパといった世界中のあらゆる地域・国から、メンバーは集まってきています。私自身、普段はシアトルを拠点にしていますが、(本部がある)シカゴでも時間を過ごしています。このように、私たちは『分散型チーム』で機能し活動しているからこそ、ISACAが行ってきた業務には非常にグローバルな視点が反映されています。そしてこのグローバルの視点から、私たちはすべてをゼロから構築することを心がけています。提供している資格認定プログラムもゼロベースで構築してきました。

私たちは、最高水準の信頼性と教育水準を備えた資格認定プログラムをゼロベースで構築する方法を理解する世界水準のチームを擁しています。私たちは、会員の教育のためのすべてのツールが、単に最高水準であるだけでなく、私たちの55年の経験に基づいた歴史の上に築かれていることに自信を持っています。このようにして、私たちは資格を構築し、学習を促進し、世界各地の支部を支援しています。

支部について少し触れます。ISACAには世界中で230支部があり、190ヵ国以上で活動しています。グローバルでのコントロール・管理はISACA本部がおこなっていますが、これらの支部では、国・地域レベルで会員ネットワークを築き、コミュニティの結束感を育んでいます。

会員を支援するネットワークは非常に広範でなければなりません。ISACAでは会員とのコミュニケーションの方法や、彼らに対する支援プログラムの構築について議論してきましたが、それと並行して会員に対する長期的な教育の未来を見据えて、テクノロジーへの投資も行ってきました。昨年(2024年)には、会員への投資としてISACA本部のITテクノロジーを強化しただけでなく、将来の資格取得に向けた基盤整備にも多額の資金を投入しました。この点で、ISACAは常に先を見据えたロードマップをつくり、組織の進むべき方向性を明確にしています。

ATO(認定トレーニング組織)と「エリートプラス」の意義

宇坂純 先ほども触れたように、2024年4月アビタスは『エリートプラス』認定を取得したわけです。これを機に、ISACAの重要な役割と『エリートプラス』認定の意義を日本の受験生や資格取得者により深く理解していただけるよう、アビタスのWebサイトにクリスタル製トロフィーを贈与するデマレ氏と私の様子を掲出しました。

この写真を見た多くの方々から、お祝いと素晴らしいコメントをいただきましたが、一方で、「ATOとは何か」「エリートプラスとは何を意味するのか」という質問も寄せられました。こうした質問・コメントを踏まえ、まず、デマレさんご本人から「アビタスが『エリートプラス』を取得した意義」について、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。

クリス・デマレ もちろんです。まず、ATOとは何かから説明します。ATOとは「Accredited Training Organization」の略で、世界中でISACAの優れたパートナーとして認定された組織を指しています。これらの組織は、APMG (Agile Project Management Group: アジャイルプロジェクト管理の認定資格を提供する国際的な認証機関。ISACAとは直接的な組織的関係はないが、どちらもITガバナンスやプロジェクト管理の分野で活動する専門団体)による第三者検証を受けた厳格なプロセス基準をクリアしています。この第三者認証プロセスを通して、ISACAは世界中のATOパートナーが、われわれのコンテンツを高い基準で提供していることを確認しています。アビタス、加えて、そこで教えている講師陣は、こうした高い水準でのコンテンツ提供能力を有していることを意味します。

その中でも『エリートプラス』とはまさに「選りすぐりの精鋭」、つまり最も多くの人々に最も適切な教育を提供している最良のパートナーを指します。CEOエリック・プルッシュが先ほど述べたように、ISACAでは多くのミッション(=今後ISACAがなすべきこと)の実現に注力しており、アビタスが取り組んでいることはまさにこのミッションの達成に貢献しています。

グローバルにおける情報・セキュリティ市場と日本の現状

宇坂純 デマレさん、ありがとうございます。では、次にクリス・ディミトリアディス氏へISACAのグローバル展開に関する質問をさせていただきます。

ISACAがこれまで提供してきたCISA (Certified Information System Auditor)、CISM (Certified Information Security Manager)、CRISC (Certified in Risk and Information Systems Control) といった認定資格は、「社会全般のIT・デジタル化」の進展にともない、実に多くのビジネス現場で需要が高まっていると感じています。こうした傾向は、「AI」と「監査」といった領域でも急速に進展しており、専門家に対するニーズ・期待がこれまで以上に膨らんでいるとも感じています。まずお伺いしたいのは、こうした背景を踏まえ、情報・セキュリティ市場のグローバル全体での動向全般について見解をお聞かせください。次にもう少し詳細な部分、例えば「ISACA認定資格取得者数の動き」「成長を遂げている国や地域」さらに「成長を遂げている顧客セグメント」といった点についてご説明いただけますでしょうか?

クリス・ディミトリアディス もちろんです。最近のグローバル経済拡大により、AI/DXといったイノベーションはこれまで以上に加速されています。その結果、プライベートセクターでは特定の企業が従来以上の成長・利益目標を達成し、更なる成功を収める一方、パブリックセクターでは特定の政府が、市民に高度なサービスを提供し、地域・国の経済成長を促進しています。いずれのセクターにおいても、デジタルやITテクノロジーの利活用が経済の主要な推進力になっているという訳です。

CEO エリック・プルッシュとクリス・デマレがすでに説明したように、私たちISACAの役割は「信頼の構築」ということにあります。なぜなら、信頼こそが、経済におけるデジタル・ITテクノロジーの基盤であり、推進力となるからです。特に、新たに開発されたデジタル・ITテクノロジーを安心して採用・実装できることは、イノベーションが世界中で普及するために必要不可欠なことであると考えます。

この点を踏まえて、なぜ私たちISACAが非営利組織として差別化を図っているのかを一言で説明するならば、ISACAが非営利組織として社会全般に対して、広範な影響力を発揮することで、会員をふくむ個人を支援し、会員が所属している組織や政府・国を支援しようとしているからです。

そして、私たちISACAはこうした支援をこれまで以上により包括的な方法で行おうとしています。なぜなら、私たちはサイバーセキュリティ提供だけ、あるいはリスク管理や監査支援提供だけ、新たなITテクノロジーのトレーニング提供だけを行うのではなく、これらすべてを有機的に組み合わせた形で提供しているからです。

このように、われわれISACAが提供している資格の相互補完性を通して、専門家・プロフェッショナルがより包括的な視点を得て、より成功したキャリアを築くのに役立つとわれわれは確信しています。

同時に、日本のような国でこれらの取り組みで育成される人材は、現代の課題に対応するため、より包括的に訓練され、準備が整った状態になるでしょう。

情報・セキュリティ市場のグローバル全体での動向全般について随分と時間を費やしてしまいました。ご質問いただいた、もう少し詳細な部分についてお答えします。国際的な調査によると、サイバーセキュリティ市場、特にサイバーセキュリティ・トレーニング市場は、年間21~22%のペースで成長しているとされています。したがって、ここには間違いなく、われわれISACAが協力できる機会があります。国のスキルギャップを解消し、国のイノベーションをさらに推進し、政府が市民の繁栄の保護と地域経済の支援というビジョンを実現するのを推進する機会があります。

さらに言えば調査によると、日本にはサイバーセキュリティ分野で20万人の人材が不足していると言われています。まさに、この20万人のサイバーセキュリティ人材の育成こそがわれわれISACAが日本で解決をお手伝いできるのではないかと考えています。

最後に、学生にとって非常に重要な新しい資格「CISA アソシエイト」についてご紹介いたします。この資格は、現在、大学や学術機関との提携を通じてのみ提供していますが、近い将来、提携先にもより広く開放することを検討しています。新たに発表できる準備が整いましたら、お知らせいたします。

CISA Associate™
IT監査業界の世界的かつ慢性的な人材不足を背景に、次世代のプロフェッショナル育成を目的としてISACAが新設した認定称号です。
将来のIT監査を担う学生や直近の卒業生に向けた新しいキャリアパスとして注目を集めていますが、制度上は年齢や現在の職種を問わず、これらの分野でキャリアを進めたい社会人もしくは学生であれば誰でも、CISA試験に合格し所定の手続きを行うことでCISA Associateの称号が付与されます。

日本市場の見通しと労働環境の変化

宇坂純 次に、スティーブ・モール氏への質問です。先ほどもお話ししましたがアビタスは18前にCISAコースを導入し開始しました。この間、ISACAの強力な支援のおかげで、日本国内のCISA試験合格者数は約2,000人を超えています。この点を踏まえ、ISACAは今後の日本市場の見通しをどのように考えておられるでしょうか?

スティーブ・モール ありがとうございます。ご存知の通り、日本政府はDXを促進し定着させるための数多くのイニシアチブを推進しています。この結果、日本企業は既存の従業員のスキル向上に積極的に取り組むようになりました。ご存知の通り、日本は労働力の高齢化が進んでおり、パブリックセクターだけでなく、すべてのプライベートセクターで従業員への投資を強化する動きが活発化しています。これにより、学術機関もカリキュラムを改訂し、技術的なプログラムを強化しており、これがCISAのような認定資格の需要を生み出しています。

グローバルでのCISAの継続的成長を共有すると、前年比36%の成長率を現在維持しており、過去5年間の年平均成長率(CAGR)は45%に達しています。これ以外の各種データを見ても、CISAだけでなくISACAが提供するすべてのサービスが日本を含む多くのグローバル市場で重要性を維持し続け、着実に成長を続けていくと確信しています。

新資格「AAIA」および「CISAアソシエイト」の今後の展開

宇坂純 最後にカーステイン・ローラ氏に新たな2つの資格についての質問をさせていただきます。一つ目の質問は「AAIA (Advanced in AI Audit)」、2つ目は「CISA アソシエイト」です。

最初の「AAIA」は、AIのビジネスへの急速な導入により、日本で大きな注目を浴びています。2つ目の「CISA アソシエイト」については、アビタスは大学セグメントや学術セグメントを今後の主要な潜在市場として設定し、探索を進めています。これらの2つの認定資格の国際的な目標と今後の計画、特に日本における展開について見解を教えていただけますでしょうか?

カーステイン・ローラ もちろんです。「AAIA」は市場初の上級AI監査資格です。われわれISACAはこれに非常に興奮しています。AI分野では多くのことが急速に進行中で、これを実務に取り入れるためには、本当に深く掘り下げ、技術を理解する必要があります。そのレベルに達するためには、資格保持のための継続教育 (CPE) の30時間程度の受講では不十分でした。

私たちはこれを補うことができるようなAI監査資格を提供したいと考えました。そして、CISA資格取得者だけでなく、USCPA資格取得者向けの資格を開発しました。くわえて、日本における昨今のAI監査ニーズを鑑み、日本公認会計士(JCPA)資格保持者もAAIA受験資格として認定しました。

今後、多くの企業でAAIA資格取得者の採用は拡大していくでしょう。なぜなら、現在AIの監査を行っていない組織でも、近い将来AIを導入し、監査が必要になるため、その方法を理解する必要が生じるからです。

「CISAアソシエイト」については、先ほどクリス・ディミトリアディスが述べたように、現在は大学市場・学術市場に焦点を当てていますが、キャリアの初期段階で「実践的なスキルを持つ」とアピールすることが可能となる素晴らしい資格です。詳細については検討中ですので、進捗があり次第、アビタスとは共有させていただきます。

宇坂純 ありがとうございました。本日は長時間にわたり、本当にありがとうございました。

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