IFRS第3号「企業結合」
のれんを償却しないことに注意!
IFRS第3号は、企業結合について記述しています。
日本基準とIAS/IFRS間の大きな違いは、日本基準では発生したのれんを20年以内に減価償却しなければならないのに対して、IAS/IFRSでは償却しないことです。
企業結合を行った場合、その後半永久的にのれんが計上され続けることが大きな特徴です。
(1)企業結合の範囲
IFRS第3号は、企業結合により取得した資産と負債が事業を構成している場合にのみ適用されます。
したがって、取得した資産と負債が事業を構成しない場合には単なる資産と負債の取得として処理されます。
(2)のれんとは何か
企業結合で頻出する「のれん」は、取得した資産と負債の差額と、企業を買収するために支払った金額の差額を指します。
「資産の公正価値が1000万円、負債の公正価値が400万円の会社の株を1100万円で100%取得し、その取引が企業結合とみなされた場合」を例に解説します。
本来であれば、資産の公正価値が1000万円、負債の公正価値が400万円である会社の公正価値は600万円のはずです。
しかし、その会社の買収額が600万円となることはほとんどありません。
なぜなら、その企業(事業)の将来性の評価により買収額が上下するからです。
この事例では、買収される企業が営んでいた事業には将来性があり、ノウハウや有能な人材などの、現在は金銭的な評価を受けていない価値(のれん)が500万円と評価されたため、企業の公正価値が600万円であるにもかかわらず買収額が1100万円となりました。
このように、現在は金銭的な評価を受けることができず、会計帳簿に計上できない資産の集合体がのれんです。
なお、もしその企業(事業)の将来性が極めて低い場合、この事例では会社の公正価値が600万円であるにも関わらず200万円で買収することとなった場合には、差額の400万円は「負ののれん」として、発生時に収益として計上されることとなります。