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みずほフィナンシャルグループCAEに聞く
監査の高度化とそれを支えるオープンな人材戦略
菊地 比左志
1988年入社後、国内営業、人事、企画、取締役会室等を経験し、2018年6月 取締役兼執行役常務 企画グループ長、2020年4月執行役常務 内部監査グループ長、2023年4月より執行役 グループCAE(現職)。2020年CIA取得。
堤 麻里
新卒で金融機関に入社後、リスク管理関係の業務に従事。2022年にみずほFGへ転職、業務監査部にて信用リスク関連の規制対応を中心とした監査業務に従事。2024年CIA取得。
内部監査の役割が一層重要性を高める中、みずほフィナンシャルグループは、組織全体のリスク管理とガバナンス強化に向けて、監査の質を高め続けています。
急速に進化する金融業界において、内部監査は戦略の実行を支える重要な機能です。
今回のインタビューでは、アビタス代表の宇坂が、〈みずほ〉のグループCAEである菊地氏に、内部監査高度化や人材戦略について詳しくお聞きしました。また、実際に〈みずほ〉に転職された堤氏にもお話をお聞きしました。
みずほフィナンシャルグループと内部監査グループの概要
宇坂 ご存じの方も多いと思いますが、まずはみずほフィナンシャルグループ(以下FG)について教えてください。
菊地 〈みずほ〉は持株会社のみずほFGのもと、銀行、信託、証券、アセットマネジメント及びリサーチ&コンサルティング機能等を擁するグローバル金融グループです。新一万円札の肖像となった渋沢栄一が設立した第一国立銀行を源流に持ち、昨年創立150周年を迎えました。基本理念の中に「フェアでオープン」を謳い、「みずほ」という名前の通り財閥名を社名に戴かない唯一のメガバンクグループです。
宇坂 御社の内部監査部門の概要・機能・方針について、お聞かせください。
菊地 持株会社FGの内部監査グループ(G)は、取締役会・監査委員会の監督の下、取締役会が定める基本方針・内部監査基本計画に基づき、FG自身の内部監査をするとともに、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、みずほリサーチ&テクノロジーズ等の主要グループ会社から監査結果等の報告を受け、グループ・グローバルに内部監査の状況を把握・管理しています。
主要グループ会社の一体運営は進んでおり、監査メソドロジーを共通化し、研修や品質評価の一体運営を進めています。物理的にも主要グループ会社の内部監査Gが同じ建屋の同じフロアで仕事をしており、本社コーポレート機能が集結する大手町タワーにオフィスがある点は経営・監査先との距離も近く当社の特徴となっております。
内部監査Gの社員数は、FGと主なグループ会社合算で約600名弱です。そのうち約4割は、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールなどの海外拠点の現地社員です。
その目指す姿は、経営に資する監査(=いわゆる経営監査)の実践・深化を通じてステークホルダーの期待に応えるプロ集団です。昨今の外部環境の大きな変化や、役割向上の求めに対し、社外の人材や知見の積極導入、DXの推進や監査技法の開発等に重点を置いて監査品質の向上に力を注いでいます。
※(2024年6月末現在)
宇坂 菊地さんには2年前にもインタビューしましたが、その後今までに、御社の内部監査Gにどのような変化がありましたか。
菊地 言うまでもなく、国内外の金融経済情勢が大きく動き、各金融機関は直面するリスクを把握・管理する必要が高まっています。この変化の時代の中で〈みずほ〉は戦略を明確化し、ビジネスの進化やカルチャーの改革を進めています。
こうした新たな戦略遂行に際し、あるべき内部統制やリスク管理態勢等に関してアシュアランスを与え、必要に応じて改善を提言する内部監査機能に対し、各ステークホルダーからの役割期待は高まり、同時に監査品質の高度化が厳しく求められています。
そのためこの2年間は、〈みずほ〉の内部監査Gでは、過去に例を見ない規模で見直しを実施しました。特に大きな変革としては、国内の監査メソドロジーの全面改定と、QA&IP(品質のアシュアランスと改善のプログラム)の人的・組織的な抜本強化が挙げられます。
現在は、例えば監査DXとグローバル運営の面で、たゆみない監査品質の高度化を進めています。
国内の監査メソドロジーの全面改定とQA&IPの抜本強化
宇坂 今お話しのあった国内の監査メソドロジーの全面改定とQA&IPの抜本強化とは、具体的にはどのようなものですか。
菊地 まず国内監査メソドロジーです。変更点は多岐にわたりますが、要約すると、「監査の網羅性の一層の拡充」と「重要な監査手法の明確化による監査アウトプットの向上と均質化」になります。見直しの過程で、〈みずほ〉独自の運用からグローバル標準への切り替えを図り、同時に〈みずほ〉国内外の監査技法や用語の統一を相当進めました。また、関連する部門内研修を刷新し、カリキュラムの質・量を数倍に拡充しています。
次にQA&IPの主な変更点は、①品質評価手法、②品質評価者、③組織的連携の3点です。①はグローバル金融機関や〈みずほ〉米州監査室との比較検討を踏まえて評価技法を追加し、それらを効果的に組合せました。②は大手監査法人の人材配置を研究し、新たに監査部長や海外監査室長の経験者等を投入して、①の実効性を人材面でも担保しました。③は、「品質評価」「研修」「監査メソドロジー」に加え、「監査テクノロジー(DX)」「運営企画」機能を集結した新組織を設置しました。各機能で検知した全体に関わる課題を共有し、機能ごとの実行計画に反映するPDCAサイクルを構築し、品質改善の実効性を高めました。
監査DXの推進とグローバル運営の高度化
宇坂 御社の監査部門におけるDXはどのような状況ですか? 具体的な活用事例を教えて下さい。
菊地 監査の高度化には、監査技法の高度化・創出と、監査運営の大幅な効率化が必要となるため、監査DXの推進は必要不可欠です。恐らく他社でも同じお考えかと思います。
〈みずほ〉の監査DXの推進は、みずほリサーチ&テクノロジーズ(RT)と米・欧監査室が原動力となっています。昨年RTでは、同社のカルチャー監査の中で社員意識調査結果に対するコレスポンデンス分析(データ解析手法の1つ)を行い、複数の監査において生成AI活用による監査プログラムを自動作成するなど、実地活用を進めています。直近ではRTのDX有識者がエバンジェリストとなって、銀・信・証の監査員向けワークショップを開催し、それぞれの監査に対して実際にどう適用するかをサポートしています。また、内部監査G内で培ったグローバルの技術と知見を相互活用すべく、日米欧のDX担当間で月次ミーティングを開いています。9月末に、みずほ銀行とRTの統合に向けた検討の開始を公表しましたが、実現した際には、IT・サイバー領域の監査人やDX有識者にとって、活躍の場が相当広がり、実務経験や知見が一層深まるでしょうし、私としても、活躍しやすい環境を整備していく考えです。
宇坂 グローバル運営の高度化はどのように進めているのですか?
菊地 各地域固有の現地規制も少なくない中で、近時は内部監査に関する現地当局の要請事項が増えてきています。加えて、監査の対象となる〈みずほ〉のビジネスの規模や複雑さも地域毎の差異が広がっています。そうした中で、グループ・グローバルにリスクを評価し、横串を通した監査を実施するために、例えばサイバーリスクなどの監査領域ごとに、東京本部の監査員による現地出張等も交えた海外各拠点との認識共有を進めています。こうした作業を積み重ねて、現地固有の運営を認めつつ、コア部分にグローバル運営の横串を通しているのです。
このグローバル運営の高度化を進めるうえで、さきほどお話した、監査メソドロジーのグローバル標準化と、国内外の監査技法・用語を統一したことが大いに役立っています。
高い専門性を有するキャリア人材の採用推進
宇坂 さきほど言われた、「社外の人材を積極導入」されている状況を詳しく教えてください。
菊地 まず、〈みずほ〉全体として、高い専門性を有する社外の人材採用を進めています。23年度にはキャリア採用数が新卒採用数を上回っています。また、24年4月に導入した新人事制度では、「役割給」を導入して年齢や経験年数に関係なく、個々人が保有するスキルや能力に基づき適材適所の実現を図っています。
内部監査Gでもキャリア採用を進めており、23年度の内部監査グループ(FGと主要な会社合算)への転入者のうち約3割はキャリア採用となっています。引き続き、IT、サイバー、AMLなど高い専門性を有する人材の確保を進めるため、キャリア採用を重視するスタンスに変更ありません。
宇坂 内部監査Gでは、キャリア採用者はどのように活躍していますか? また、どんなサポート体制が用意されていますか?
菊地 採用方式に関わらず、本人が有するスキル、実務経験等に応じた役割をお願いするため、高い専門性を有するキャリア採用者には早速重要なポジションをお任せしています。例えば、2名の方が部付部長(部の№2、なお1名は執行役員)に任命され、前職の経験を活かしてグローバル監査運営に携わっています。また、IT・サイバー領域等では、高い専門知見を活かして監査主任(いわゆるチーフ)を務める方も少なくありません。
キャリア採用者に対するサポートは相当充実しており、全社ベースでは、入社後すぐに情報管理等の基本的な事項に関する「スタートアップ研修」が用意されています。さらに内部監査Gでは「オンボーディングプログラム」として、①着任時ガイダンス、②オンデマンド研修、③メンター制度、④交流会等の手厚いサポートを用意しています。キャリア採用者の方々には、スムーズに〈みずほ〉に馴染み、存分に力を発揮していただきたいと考えています。
宇坂 実際にキャリア採用で入社してどうでしたか。
堤 採用面談のお話の通り、プロパーの社員とキャリア採用で登用に差はないと感じています。また、新人事制度では一部勤続年数が制限となっていた年金に関わる制度も廃止され、よりキャリア採用にオープンな制度に改められるなど会社としてキャリア採用に前向きな姿勢を感じます。内部監査Gの取り組みでは、先ほどお話にでたメンター制度が私にとってはとてもありがたい制度でした。〈みずほ〉での経験豊富な先輩に入社後の不安や悩みを相談することができ、ちょっとした会社独自の用語や仕事の進め方を含めサポートしていただけたことで、新たな環境でも安心してスタートを切ることができました。
また、〈みずほ〉ではキャリア採用者・社内異動による転入者の分け隔てなくコミュニケーションの活性化に向けた「組織開発」という取り組みを推進しています。これはコミュニケーション活性化による組織全体のパフォーマンスを向上させる取り組みで、会社として非常に力を入れていることに驚きました。特に内部監査グループは、人数が非常に多いうえにキャリア採用や社内の様々な専門業務のバックボーンを持つ人が集まる年齢層も幅広い組織です。私も実際に組織開発のプロジェクトメンバーとして活動しましたが、例えば部内で「業務の時短テクニック」や業務外の「旅行好き」などテーマを決めて好きな人が集まりフリートークをするオープンダイアローグなど、業務・プライベートを織り交ぜてコミュニケーションを広げる仕組みがたくさんありました。監査実務において、他のグループ会社やチームの方との連携も不可欠となる中で、こうした取り組みを通じて、円滑にコミュニケーションを取れるようになることは、最終的には監査の品質向上に繋がっていくと感じます。
〈みずほ〉におけるCIA資格取得の推進とサポート体制
宇坂 CIA(公認内部監査人)資格は、どのような場面で役立ちますか?
菊地 〈みずほ〉では、内部監査G(国内)のCIA保有者数を人材育成に関するKPIの1つに設定しています。人数はこの3年で約2倍と大幅に増加し、現在では概ね4人に1人が保有しています。
CPA保有者が多い欧・米監査室では、重ねてCIAを取得する人は少ないですが、日本や中国監査室などでは、内部監査に関する専門知識・スキルの保有と、コミットの証左としてCIA取得を重視する方向にあり、CIA保有者数の更なる積み増しを計画しています。
私自身の経験に照らせば、CIA取得の学習を通じて体系的に習得した、コーポレートガバナンスやリスク管理等の本質、経営に資する監査に必要な監査技法、それらを担保する品質管理のポイント等が、CAEの日々の職務遂行に大いに役立っています。また、経営監査を担当する監査主任、品質評価者、監査企画担当等でも同様ではないかと考えています。こうした高度な知見やスキルは実務経験やCPA等の資格取得を通じても習得可能ですが、多くの場合CIA取得を通じた習得がより現実的で合理的だと思います。
宇坂 CIAなどの資格取得に対し、どのようなサポートがありますか?
菊地 まず〈みずほ〉全体では、今年度より人事運営のあり方を「社員の挑戦を後押しする」形に変化させ、2025年度までに1人当たり10万円/年相当の育成投資を目標とし、それを意欲的に“キャリア自立”に取組む社員に投資する運営です。
具体的には全社の制度として、一定限度までの①通信教育等の費用補助、②資格の受験・維持費用等の補助に加え、例えばCIAであれば資格取得時に20万円など、各種資格の取得に対し報奨金制度もあります。
さらに内部監査Gとして追加の制度を設けており、①CIA、CFE、CISAについてアビタス社講座の提携受講制度による各種特典、②各資格取得後のCPE(継続教育制度)に適合する研修の無償提供、③資格維持費用について会社補助と併用できる独自の補助等を提供しています。
公認資格に裏付けられた高度な専門性を有する人材に対して確りと報いるという方針について、ご理解いただければ幸いです。
宇坂 〈みずほ〉の資格取得のサポート体制はどう感じていますか。
堤 私も〈みずほ〉に入社してからCIA資格を取得しました。まずは転入者向けに、内部監査全般にかかる研修があり、そこで〈みずほ〉の考え方や監査手法を学びます。加えて、アビタスさんが提供する監査の手法等をさらに深掘りした動画研修が提供されます。その動画研修の延長としてアビタスさんの〈みずほ〉専用CIAコースがあり、初歩からCIA取得までしっかりとプログラムが組まれていました。また、同時に社内の補助制度の案内もあり、パッケージとしてスムーズに利用できました。専門資格は維持・更新にも結構なコストがかかる場合もあり、その面のサポートが会社としても、内部監査グループとしても充実しているので、実務に必要となる知識の拡充に前向きに励むことができました。資格は必要だが、それは各々で取得するもの、というスタンスではなく、会社・部門として資格取得・自ら学ぶ職員に報いる体制となっていると感じています。
内部監査の現場で得られるキャリア形成の機会
宇坂 資格取得以外で専門人材をどのように育成していますか?
菊地 監査の高度化を進める中で、会社が提供する研修の時間は3年間で約10倍と大幅に拡充しています。従来は、監査に必要な専門性は、「個人ベースで」または「実務を通じて」習得するのが主流でしたが、監査に対する要求水準の高まりには十分応え切れなくなりました。そこで、品質評価で検知された課題などCAEが重視する事項に力点を置き、強化が必要な人材を中心に据えたインプット研修を拡充しています。特に監査主任は、監査のプロジェクトリーダーであり監査員の実地研修の責任者でもある、極めて重要なポジションのため、最もカリキュラムを充実させており、例えば自身が携わった監査報告書を題材として外部講師と参加者が突っ込みを入れる実戦形式のハードな研修が用意されています。
監査品質の向上は専門人材の育成がポイントとなるため重点的に投資しています。
宇坂 〈みずほ〉で内部監査を経験すると、どのようなメリットが得られますか?
菊地 「金融機関の内部監査は、他業種と比べて成熟度が高く、あるべき内部監査態勢に向けて改革を進めている」と言われています(*1)。どのような取り組みが行われているのかを体系的に知りたい方は、金融庁が令和6年9月に発行した「金融機関の内部監査の高度化に向けたモニタリングレポート (2024)」(*2)のご一読をお勧めします。
*1 月間監査研究2021.6 『内部監査の成熟度』に関する調査結果報告<第4回>
https://www.iiajapan.com/leg/pdf/kenkyu/a01_2106_4.pdf
*2 https://www.fsa.go.jp/news/r6/ia/20240910.pdf
次に、〈みずほ〉で監査を経験するメリットについて申し上げると、〈みずほ〉には、日本のメガバンクに相応しい壮大で複雑なビジネス・グループ企業・組織・統制・システムがあります。それらを監査対象として、自社の監査員の手による、様々な目的、観点、技法を用いた監査を実地で経験することが可能です。
加えてグローバル監査に、海外拠点に在籍する形で、あるいは東京から応援の形で参加することは、本人の意欲と実力があればそう難しい話ではありません。また、DX活用など先進的な監査技法へのチャレンジも同様です。
このように、内部監査にコミットし、目標を掲げて挑戦する人材に、機会とサポートを積極的に提供するのが〈みずほ〉の内部監査Gです。
また、中長期的なキャリア形成についても多様なルートが想定されます。10年以上在籍して専門性を磨き続ける方もいれば、キャリア採用直後は海外関連の監査企画に携わり、その後AML監査に展開する方もいます。このように個々人のキャリア志向に沿う形で、深さや幅広さを備えたキャリア形成を実現できる点もメリットだと思います。〈みずほ〉への就職希望者で、さらに当社の取り組みを知りたい方は個別に内部監査Gの採用担当にお問い合わせ下さい。
宇坂 〈みずほ〉の専門性向上への取り組みや得られる経験についてどう感じますか。
堤 資格取得のみならず、専門性向上について実務の習得にも力を入れている印象です。メソドロジーは専門チームが海外とも連携して文書化してあります。研修も充実しており、メソドロジーの説明・解説に加え、応用編として実践型の研修でシミュレーションやグループディスカッションをするものもあり、監査員同士の刺激にもなります。加えて、監査主任に必要なプロジェクトマネジメントやチームマネジメントの能力を養成する研修やDXに関する研修など、個々の専門性向上に繋がる研修も数多く提供されています。
監査経験に関しても、メガバンクという巨大な組織において経営戦略、与信業務、市場業務、事務、システム、コンプライアンスなど広大かつ専門的な業務分野の監査が可能であり、海外にもフィールドが広がっています。これまでの監査以外の業務経験を活かして初めて監査に挑戦する人にも、これまでの監査経験・知識を更にステップアップさせようとする人にも、“挑戦する気持ち”があれば、それに十分に応える環境だと思います。
宇坂 〈みずほ〉の内部監査では、シニアの方も活躍されているのですか?
菊地 〈みずほ〉全体で年齢や経験年数に関係なく適材適所の実現を進めており、新人事制度導入に伴い、一定年齢で個人のスキルや能力に関係なく処遇を下げる専任職員制度を廃止し、経験豊富な社員の活躍機会を拡大しています。
内部監査Gにおいても、品質評価者や監査指導役など、豊富な業務経験と監査知見が必要な、「シニアならでは」の役割が存在します。
他社でもシニアの活用が進んでいるようで、高度なスキルを持つ品質評価やグローバル×ITの内部監査人材などはまさに獲得競争になっています。つまるところ、活躍できるフィールドの有無は、シニアか否かではなく、内部監査へのコミット、豊富なスキル・知見と業務経験、気力×体力に大いに左右されるのではないかと思います。
宇坂 最後に今後の貴社の内部監査についてお考えを教えてください。
菊地 最近変化を感じるのは、他部署から内部監査に「異動したい」、「業務に興味がある」という人が目に見えて増えてきたことです。これは従来の内部監査のイメージが変わり、経営目線で会社全体を俯瞰し、グローバルに専門性を探求できるやりがいのある業務であることが浸透した証拠だと思います。この変革期において、この場でご紹介した様々な刷新を押し進め内部監査の魅力を社内外に発信することで、意欲にあふれる人材が年齢や経歴などの垣根なく集まる組織にしていきます。そして、一人ひとりの監査人がそれぞれのスキルと知見を発揮することで、経営に資する監査をさらに高めていきたいと思います。