IFRS第8号「事業セグメント」 事業ごとの情報を表示
IFRS第8号は、企業内の事業の種類ごとに情報を表示する方法について記述しています。
事業セグメントの開示について、日本基準とIAS/IFRS間で大きな違いはありません。
(1)事業セグメントの決定
事業セグメントとは、企業が行なっている事業の構成単位のことです。
例えばNTTドコモの事業セグメントは以下の3種類に区分されています。
「通信事業(携帯電話本体の販売など)」
「スマートライフ事業(料金収納代行や音楽配信など)」
「その他の事業」
①事業セグメントの定義
IFRS第8号における事業セグメントとは、企業の構成単位のうち、以下の全ての要件に該当するものをいいます。
すでに稼働中の事業だけではなく、将来の収益獲得に向けて活動している構成単位が事業セグメントを構成することがありますので、注意が必要です。
- ある事業活動の収益・費用を負担している単位
- 企業の最高経営意思決定者が資源配分の方法や業績測定の際に社内的に用いている単位
- 分離した財務情報を入手できる単位
特に、最高経営意思決定者が社内的に用いている単位を事業セグメントの開示にも用いる考えを「マネージメント・アプローチ」といいます。事業セグメントの決定の際、特に参考にするべき情報です。
②報告セグメントの決定
事業セグメントのうち、集約基準と量的基準を考慮して報告セグメントを決定します。
【集約基準】
いくつかの事業セグメントの経済的特徴が似ており、かつ一定の要件を満たしている場合には、複数の事業セグメントをまとめて一つのセグメントとして報告することが認められています。
【量的基準】
次の基準のいずれかを満たす事業セグメントに関しては、その事業セグメントの情報を個別に報告する必要があります。
①その事業セグメントの売上(社内の事業セグメント間での売上、例えばある事業セグメントで製造した機械を別の事業セグメントで社内利用するなどを含みます)が、全事業セグメントの売上合計の10%以上
②その事業セグメントの損益が、以下のいずれかのうち大きい方の10%以上
1 利益を獲得した全事業セグメントの利益合計
2 損失を計上した全事業セグメントの損失合計
③その事業セグメントの資産が、全事業セグメントの資産合計の10%以上
なお、報告セグメントの外部収益(つまり、社内の事業セグメント間での売上を除いたもの)の合計額が、企業の外部収益の75%以上となるようにしなければいけません。
(2)開示情報
報告セグメントごとに、下記の情報を開示しなければいけません。
①一般情報
企業がその報告セグメントを識別した根拠、各セグメントが営んでいる事業内容
②報告セグメントの純損益、資産負債に関する情報
③調整表
報告セグメントの財政状態・経営成績の合計額と企業の財政状態・経営成績の合計額の比較表