IFRS第15号「新収益認識基準 本人と代理人」
百貨店や商社などに影響大!
IFRS第15号により新たに公表された収益認識基準では、本人(契約当事者)の立場で収益を得ているか、代理人の立場で収益を得ているかを明確に区別します。
本人の立場で収益を得ている場合は売上を総額で表示、つまり売上と売上総利益を同時に計上します。
一方、代理人の立場で収益を得ている場合は売上を純額で表示、つまり売上から売上総利益を差し引いた金額を「売上高」として計上する必要があります。
(1)本人と代理人
本人と代理人を区別する一番のポイントは、本人は契約の履行責任や在庫リスクを負担しており、価格決定に裁量権を有しているのに対して、代理人は契約の履行責任や在庫リスクを負担せず、価格決定の裁量権を有していない事が挙げられますが、厳密に区分できない場合も想定され、判断に悩むケースもあるでしょう。また、この区別のポイントは絶対的なものではないとされています。
代理人の代表例は消化仕入を行っている百貨店やスーパーでしょう。
消化仕入とは、仕入先に所有権を留保したまま展示し、販売した時点で同時にその商品を仕入れる販売方法です。
従前の日本基準では、消化仕入で売上が生じた際に、は売上と仕入を同時に計上していました。
しかし、IFRS第15号では売上から仕入を差し引いた金額を「売上高」として表示する必要がありますので、消化仕入を行っていない同業他社と比較して売上高が少なく表示されることに注意が必要です。
同じく、対価が手数料の形式による場合は代理人と推定されますので、商社などでも同様の課題が発生すると考えられます。