IFRS第2号「株式に基づく報酬」
日本基準より広い適用範囲
IFRS第2号は、いわゆるストック・オプションについて記述しています。
日本基準でもストック・オプションや株式の付与については同様の会計処理を行いますが、IFRS第2号は、より広い範囲の報酬を対象としていることに注意が必要です。
(1)株式に基づく報酬
IFRS第2号が適用される「株式に基づく報酬」は以下の3種類に分類されます。
持分決済型の株式報酬
財貨・サービスの対価として、企業が自社の資本性金融商品(株式やストック・オプション)を付与する形式の報酬です。
なお「財貨・サービス」の代表例として、従業員の労働があげられます。
現金決済型の株式報酬
財貨・サービスの対価として、企業が自社の資本性金融商品(株式やストック・オプション)の価格を基礎として現金を支払う形式の報酬です。
例えば、「当社株式の○年○月○日の最終取引価格の100倍の価格を報酬として与える」といった契約が考えられます。
日本ではあまり見られない形式ですが、欧米では珍しくありません。
現金選択権付の株式報
持分決済型と現金決済型の中間形式の報酬です。
財貨・サービスの提供者(従業員・役員のケースが多いでしょう)が、一定の条件の下で現金を受け取るか、資本制金融商品を受け取るか選択することができます。
(2)株式報酬の評価方法
持分決済型の株式報酬は資本として認識します。
原則として企業が受け取った財貨・サービスの公正価値で評価する必要がありますが、その測定が困難な場合には付与した資本制金融商品の公正価値で評価することができます。
現金決済型の株式報酬は負債として認識します。支払義務を負う金額、つまり負債の公正価値をもって評価します。
現金選択権付の株式報酬の場合には、現金での支払義務が確定している部分があれば、その部分のみ現金決済型として、それ以外の部分は持分決済型の株式報酬とみなして評価します。
(3)株式報酬を認識する時点
企業は、資本性金融商品の支払義務が直ちに確定する場合、例えば「事業年度末に在籍する従業員に対して株式報酬を与える」という契約をしている場合には、支払義務が確定した時点で全額を負債・資本認識する必要があります。
資本性金融商品の支払義務が直ちに確定しない場合、例えば「3年間勤務した従業員に対して、3年を経過した日に株式報酬を与える」という契約をしている場合、その従業員が将来権利を獲得するものと想定して、このケースだと負債・資本を3年に配分して認識する必要があります。