IFRS第7号「金融商品:開示」 リスク開示を強調!
IFRS第7号は、企業が保有している金融商品の情報を開示する方法について記述しています。金融商品の情報開示については、日本基準とIAS/IFRS間に大きな違いはありません。
しかし、日本基準では一部の事項について開示が求められているにすぎませんが、IFRS第7号は企業が保有している金融商品から生じるリスクの開示について詳細に記述していますので、注意が必要です。
(1)財政状態計算書における開示
IFRS第7号では、以下の項目の帳簿価額を財政状態計算書か注記にて開示する必要があります。
また、金融資産を担保として差し入れている場合、担保契約の内容も開示する必要があります。
- 公正価値で評価される金融資産及び金融負債
- 満期保有目的投資
- 貸付金及び債権
- 売却可能な金融資産
- 償却原価法にて評価される金融負債
(2)包括利益計算書における開示
IFRS第7号では、以下の項目を開示する必要があります。
- IAS第39号に定められている金融商品のカテゴリーごとに区分した、金融資産及び金融負債の純損益
- 公正価値で評価される金融商品以外の金融資産及び金融負債から生じた、受取利息と支払利息総額
- 公正価値で評価される金融商品以外の金融資産及び金融負債から生じた、受取手数料及び支払手数料
- 減損損失が生じた金融資産から生じる償却額
- 金融資産の種類ごとの減損損失の金額
(3)金融商品から生じるリスク
IFRS第7号では、金融商品から生じる主なリスクとして以下の3種類を挙げています。これらのリスクについて、定量的・定性的な評価をして一定事項を開示することが求められています。
- 信用リスク
金融商品の約束が果たされないリスクです。
例えば、社債を保有している場合に、社債を発行した会社の資金繰りが悪化して約束通りの利息が支払われないといったリスクが考えられます。 - 流動性リスク
企業の金融負債を履行することが難しくなってしまうリスクです。例えば社債の満期が到来し、元金を返済しなければならないにも関わらず、あてにしていた金融機関からの融資を受けることができずに返済が滞ってしまうといったリスクが考えられます。 - 市場リスク
市場価格の変動により、金融商品の公正価値が変動してしまうリスクです。
例えばリーマン・ショックやバブル崩壊のように、なんらかのきっかけで金融商品の価格が暴落してしまうといったリスクが考えられます。