IAS第38号「無形資産」 研究開発費の取扱に注意!
IAS第38号は無形資産について記述しています。
日本基準には特に無形資産についての規定が置かれていませんが、IASには無形資産についての包括的な規定が置かれています。
(1)無形資産の定義
IAS/IFRSは、資産を以下のように定義しています。
「過去の事象の結果として企業が支配し、かつ将来の経済的便益が企業に流入することが期待されている資産」
無形資産は資産の一種ですが、IAS第38号は以下のように定義しています。
「物質的実体のない識別可能な非貨幣性資産」
無形資産のうち、以下の要件を満たしたものについては資産として計上する必要があります。
- 資産に起因する、期待される将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高い
- その資産の取得原価を信頼性をもって測定できる。
なお、IAS/IFRSの他の基準書により、ある無形資産の会計処理方法が定められている場合には、IAS第38号は適用されません。
例えば、特許権や著作権、土地使用権のリースを受けた場合は、IAS第37号「リース」が適用されるため、この基準書は適用されません。
(2)研究開発費の無形資産化
IAS第38号のうち、特に日本基準と異なるのは研究開発費の取扱です。
日本基準では、研究開発費は発生時に費用として処理しますが、IAS第38号では要件を満たした研究開発費を無形資産として計上する必要があります。
(3)無形資産とならないもの
要件を満たさない研究開発費の他、以下のような支出は無形資産とはなりません
- 開業準備に係る支出
- 訓練活動に係る支出
- 広告宣伝に係る支出
※IAS第2号「棚卸資産」で解説したように、IAS/IFRSではパンフレットや販促品は棚卸資産と認識せず、発生時に費用処理します。 - 組織変更に係る支出
- 内部創出のブランド、題字、出版タイトル、顧客名簿及び実質的にこれらに類似する項目に係る支出