IAS第23号「借入コスト」
支払利息が取得原価となることがあります!
IAS第23号は借入コストについて記述しています。
日本基準では、利息などの借入コストは原則として発生時に費用として処理されますが、例外的に特定の固定資産を購入するための借入であることがはっきりしている場合には、その固定資産の取得原価としてもかまいません。
しかし、IAS第23号では、特定の資産を取得するために発生した借入コストについては、その資産の取得原価としなければいけません。
(1)借入コストの範囲
借入コストとは「企業資金の借入に関連して発生する利息およびその他の費用」のことを指します。
通常の借入金に対する支払利息の他に、リースを受けた際の利息相当分や外貨借入により発生した為替差損益のうち利息と認められる金額なども含まれますが、株式の発行コストなど、資本取引のために発生したコストは含まれないことに注意が必要です。
(2)特定の資産
IAS第23号により借入コストが取得原価となりうる資産を「適格資産(qualifying asset)」といいます。
適格資産は「意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を要する資産」と定義されており、以下のような資産が該当しうるとされています。
- 棚卸資産
- 製造工場
- 発電施設
- 無形資産
- 投資不動産
また、以下のような資産は、適格資産とはなりません。
- 金融資産
- 頻繁、大量に製造される棚卸資産
- 取得した時点で意図した使用または販売が可能である資産
したがって、IAS/IFRSを適用した場合には、借入コストが発生するたびに資金使途を確認し、適格資産の取得である場合には取得原価に繰り入れる会計処理をしなければならないことに注意が必要です。