IAS第16号「有形固定資産」
減価償却の単位に注意!
IAS第16号は有形固定資産について記述しています。日本基準とは以下の点が異なります。
(1)コンポーネント・アプローチ
コンポーネント・アプローチとは、減価償却を行う単位を「重要な構成要素」ごとに識別する考え方のことです。ここでは、航空機を例にとって解説します。
日本基準ではコンポーネント・アプローチの定めがありませんので、「航空機」全体を一つの固定資産と認識し、法人税法上の耐用年数表に基づいて固定資産を認識し、耐用年数を定めています。
一方、IAS第16号では、コンポーネント・アプローチを行うこととされていますので、航空機を認識する際には、まず航空機を「重要な構成要素」つまり「機体」「エンジン」「客室の内装」「その他の機械装置」などに区分して、それぞれ個別に減価償却方法や耐用年数を定めなければいけません。
(2)資産の耐用年数の決定
これまで、日本基準では「企業の状況に照らし、耐用年数又は残存価額に不合理と認められる事情のない限り」法人税法上の耐用年数や残存価額を財務会計にも準用してよいと定められており、実務上もほぼ準用されていました。
しかし、IAS第16号では、企業ごとにその資産がいつまで有用なのか判断し、またその判断が正しいのかどうか各事業年度末に見直しをすることが求められています。
したがって、IAS/IFRSを適用する場合、同一の資産について財務会計上の簿価と税務会計上の簿価が異なったり、期末において耐用年数を変更したりすることが多くなると思われますので、会計システムの改良が必要になることが予想されます。