
自分の強みや弱みを客観的に見直し、交渉の枠組みを体系的に整理できるのは貴重な体験
ユーピーアール(株)/フォスター電機(株)
社外取締役/社外監査役
受講講座:Negotiation Mastery
1週間当たりの学習時間:10時間
仕事や日常生活の中で常に存在する些細な利害調整や駆け引きに効率的かつ効果的に対峙できる理論やHow toがあるなら、体系的に学びたいと考えたため。
私は、複数の企業で社外役員を務めております。経営陣と対話する場面では、単に意見を述べるだけでなく、相手を納得させ合意形成へと導く力も求められます。一方、もともと「交渉」に苦手意識があったため、体系的に学び直す機会を探していました。タイミングが合わずUMassのNegotiation科目を履修できなかったため、今回Harvard Business School Onlineの「Negotiation Mastery」を追加で受講できたことは良い機会となりました。
本講座は、交渉術のテクニックのみを学ぶのではなく、交渉を「対立」ではなく「互いの価値創造の機会」と捉える視点を養う内容でした。最初は、BATNAやZOPAといった交渉分析の基本概念から始まり、相手との長期的関係を見据えた戦略的思考、複数要素を組み合わせた合意形成など、実践的かつ体系的に学べる構成になっています。
各モジュールでのシミュレーション演習は、事前に理論を詰め込むというより「まず体験し、その後の振り返りで理論を整理する」という流れで設計されており、自分の強みや弱み客観的に把握できます。また、世界各国から集まった受講生とのシミュレーションは、他国の交渉スタイルや準備の仕方から多くの気付きをもらい刺激にもなりました。文化やバックグラウンドの異なる相手とのやり取りは、多様な責任や立場をもつ方との交渉に似て役立ちます。
実際に受講すると、交渉力とは単なる「強さ」ではなく、相手を理解し互いに利益を見出す場を創り出す力であると解ります。本講座で得たフレームワークや思考法は、社外役員として経営陣と建設的な議論を行う場面のみならず、日常の人間関係構築や社内外での合意形成にも役立ちます。特に、外資系企業にお勤めの方や外国人との交渉が多い方にとって、本講座は有効でしょう。英語での演習は英語が母語でない私のような受講生には一定の負荷はあるものの、実践へのシミュレーションとして価値を感じるでしょう。
私自身はこの受講を通じ、交渉を戦略的にリードする力を磨くきっかけを得たと実感します。もし、もっと若い頃に学んでいれば、キャリアに新たな選択肢が開けていたかもしれないです。今後も本講座で得た学びを糧に、より高いレベルでの交渉に挑みたいと思います。
交渉シミュレーションの相手方から、自分が普段から意識的に心掛けている点を「長所」として評価されたため、その有効性を改めて確認することができました。一方、自身では弱点と認識し注意している点が「改善点」として指摘されました。たとえ自覚し配慮していても、弱点が無意識に表出する自分の癖を再認識し、完全克服には継続的な努力が不可欠と悟りました。
講義で紹介された事例は印象的なものが多く、とりわけ発想の転換が窮地を打開する力となる好例は、深く心に残ります。ネタバレにならない範囲で紹介しますと、スミソニアン博物館の展示用作品購入交渉ケースでは、予算制約というハードルを同博物館のブランド力と交渉相手へのリスペクトで乗り越え合意に至ります。1912年ルーズベルト大統領の選挙用ポスター300万枚のコピーライトのケースでは、時間的、予算的限界を、機転の利いた素晴らしい条件提示で解決します。自分も仕事や交渉に行き詰まった時に発想の転換や相手へのリスペクトを忘れない様、心掛けようと思いました。
ところで、交渉においてブランド力が重要な要素で有った前者のケースの際、ハーバード大学のブランド力が気になり、受講者数を数えてみたところ、北米に加え、中南アメリカ・欧州・アフリカ・中東・東南アジアなど世界中の様々な地域から合計340名もが、時間的・金銭的コストを払い受講していました。ハーバード大学のブランド力に感心しました。
Negotiation Masteryは、単なる交渉テクニックの習得ではなく、実際に様々な立場の人々が、それぞれの環境で実践してきたケースが紹介され、「戦略的思考」と「相手視点の理解」を深める講座です。オンライン形式で受講しやすく、他の学生とのシミュレーションを通じ実践的に学べるのが魅力です。また、受講初期段階で目標を定め、その進捗チェックや振り返り機会が定期的に設けられているため、目標を見失わず自分の強みや弱みを客観的に見直し、交渉の枠組みを体系的に整理できます。英語でのやり取りや短期間での課題提出には一定の負荷があり、時間管理と積極的な参加姿勢がKeyとなりますが、受講を通じて得られるのは知識にとどまらず、自身の交渉スタイルへの深い洞察と自信です。挑戦する価値はあると思います。
